作者CrystalDays (Endless World)
看板MISIA
標題[新聞] MISIA x Rockon Social Club 成田昭次&
時間Sat Dec 30 14:34:36 2023
https://natalie.mu/music/pp/misia_rockonsocialclub
MISIA x Rockon Social Club 成田昭次&寺岡呼人 インタビュー
MISIAとRockon Social Clubのコラボ曲「傷だらけの王者」が配信リリースされた。
「傷だらけの王者」はNHKで放送されている「ラグビーワールドカップ」中継番組のテ
ーマソングとして制作された楽曲。MISIAの力強い歌声と、元男闘呼組メンバーを中心
に結成されたRockon Social Clubによるエネルギッシュなバンドサウンドが重なり合う
、壮大な応援歌となっている。音楽ナタリーでは、MISIAとRockon Social Clubの成田
昭次(G)、寺岡呼人(G, Producer)にインタビュー。「傷だらけの王者」制作の裏側
や、お互いが抱くアーティストとしての印象などを語ってもらった。
“眠れる獅子”を呼び覚ますイメージ
──NHK「ラグビーワールドカップ」のテーマソングとして制作された「傷だらけの王
者」(作詞・作曲:MISIA、編曲:寺岡呼人)は、MISIA & Rockon Social Club名義に
よる楽曲です。作詞作曲の際、MISIAさんはどのようなことを意識しましたか?
MISIA 「ラグビーワールドカップ」放送のテーマソングのお話をいただいたとき、最
初に頭に浮かんだことがあって。ラグビー選手の方々は、フィールドの外ではどっしり
として穏やかな印象なんですが、試合が始まって、フィールドに入っていくときは目つ
きが変わる。それが“眠れる獅子”を呼び覚ますような感じだなと思って、「胸の奥に
眠った 獅子を呼び覚ませ」という歌詞が浮かんだんです。そこからのスタートでした
ね。メロディ制作とアレンジが同時進行だったので、呼人さんのアレンジによってメロ
ディを変えた部分もありました。
寺岡呼人(G, Producer / Rockon Social Club) そうですね。
MISIA さらにラグビーのことを調べたり、試合を観たりする中で、気付いたこともあ
りました。ラグビーはとてもパワフルなスポーツですけど、お互いの体を気にかけなが
らプレイすることを大事にしているんです。ラグビー憲章には「品位・情熱・結束・規
律・尊重」という5つの言葉が掲げられていて、まさに紳士のスポーツなんですよね。
あと、ラグビーの監督はフィールドにいらっしゃらないですよね。それは選手の自主性
を大事にしているからなんだそうです。そのことも含めて、ラグビー日本代表は日本の
トップの方々、言わば王様が全国から集まってきてるんだなというイメージがありまし
た。
寺岡 そういう研究をして、あの歌詞ができたんですね。
──実際のラグビーの試合を思い描きながら書いていた部分もあるのでしょうか?
MISIA そうですね。スクラムを組むところとか、ボールを奪うために飛び込んでいく
場面とか。ラグビー選手の皆さんは、何回も何回も失敗したり、転んだり、ときにはケ
ガをしてしまったり、そういうことを繰り返してこられたと思うんです。挫折も経験さ
れているでしょうし、心の傷、体の傷を負いながら、それでも恐れずに次の一歩を踏み
出してきた。だからこそ、最高のステージをつかんでいらっしゃるんだなって。その勇
気にフォーカスしたのが、「世界はいつの日にも 勇気あるものだけに開かれる」とい
う歌詞です。
皆さんと一緒だから歌えた
──ロックテイストを押し出したサウンドも印象的ですが、寺岡さんはアレンジに際し
、どんなことを考えていましたか?
寺岡 この曲の仮タイトルは「眠れる獅子」だったんですよ。「『獅子』だったら、重
厚感が欲しいな」と思ってましたね。あとはファンファーレ的な感じというか、行進し
ていくような曲にできたらいいなというイメージもありました。
──そして成田さんはギターとコーラスで参加されています。
成田昭次(G / Rockon Social Club) さっきMISIAさんがおっしゃっていた通り、呼
人さんのアレンジとメロディや歌詞の制作が同時に進んでいたんですよ。自分はギター
とコーラスで参加させてもらうことになって、ライオンというイメージをどう出せるか
?という課題に向き合っていました。
MISIA 成田さんのギターは吠えてる感じがありました。
成田 ホントですか?(笑) ライオンは滅多に吠えないんですけど、その瞬間を捉え
るようなギターソロを弾けたらいいなと思ってましたね。
寺岡 ツアー先の九州から直接スタジオに来たよね。
成田 そうそう。ちょうど男闘呼組のツアー中で、長崎からスタジオに行ったので。
寺岡 僕らは「今日はギターの録音だから、MISIAさんは来ないだろうな」と思ってた
んですけど……。
MISIA え!?
寺岡 (笑)。でも、来てくれて。しかも歌うためのブースがなかったから、休憩スペ
ースみたいなところで歌ってくれたんですよ。
成田 オケには仮歌も入ってたんだけど、その場で歌ってくれて。そのおかげで、こっ
ちのエネルギーも強くなりましたね。
MISIA 情熱の量が違いますよね、一緒にやると。
成田 そう、ライブ感がすごくあった。
寺岡 ドラムの青山英樹くんもMISIAさんの歌に圧倒されて、「こんなに盛り上がって
演奏できるって、やっぱり歌の力はすごいですね」と言ってました。ギターソロもそう
ですけど、間違いなく歌に動かされてましたね。
成田 たぶんMISIAさんには仮歌というものが存在しないんでしょうね。どのテイクも
百発百中で。
寺岡 ギターソロを何テイクか録って、「最後にもう1回やろうか」ということになっ
たんだけど、そのときも歌ってくれて。間奏でフェイクを入れたり、歌でこっちを盛り
上げたりしてくれましたね。
MISIA やればやるほどお互いのことがわかってきますからね。
寺岡 でも、今回みたいな激しいロックサウンドの曲はたぶん初めてですよね? 大丈
夫でした?
MISIA 確かに初めてでしたし、私だけではできなかった楽曲だと思います。呼人さん
がアレンジしてくださって、昭次さんがギターを弾いてくれて。そして昭次さんがコー
ラスをやってくださることになったときに、昭次さんがやっぱり(高橋)和也と(岡本
)健一の声が必要だとおっしゃって、そこから皆さんにも声をかけていただいて、
Rockon Social Clubの皆さんが参加してくださったことで、「さあ行こうぜ 最高の
STAGE」と歌えたんですよね。私1人ではとても歌えないけど、皆さんと一緒だから「さ
あ行こうぜ」って歌えた。
成田 MISIAさんがロックな曲を歌っているのはめちゃくちゃ新鮮でした。ソウルフル
かつワイルドで。
寺岡 ティナ・ターナーがミック・ジャガーと一緒にやったときみたいだったよね。
MISIA ベース、ギターなどが重なっていく中で、歌い方も変わってきたんです。呼人
さんの温かくて分厚いベース、昭次さんの力強くてちょっと切ないギターにグッときて
。Rockon Social Clubの皆さんが一緒にコーラスを録っていた姿も忘れられません。
寺岡 サビのコーラスをみんなで歌って、MISIAさんにディレクションしてもらって。
どうでした? 50代の男がマイクに向かって、一生懸命歌ってる姿は(笑)。
MISIA カッコよかったです! 男っぽくて、曲の中にまた違う風が吹きました。
成田 ラグビーもそうですけど、この曲も“全員で作った”という感じがすごくありま
したね。
このサウンドはRockon Social Clubじゃないと出せない
寺岡 フェス(2023年8月12日に出演した「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2023 in EZO」
)で「傷だらけの王者」を披露したときも、すごく盛り上がりましたね。それまでは
R&Bの世界が広がっていたのに、最後に僕たちがいきなりステージに上がって……。
成田 ロックサウンドを北海道の大地に響かせました(笑)。
MISIA あのときも「このサウンドはRockon Social Clubじゃないと出せないな」と思
いました。もちろんMISIAバンドでも練習して、皆さんがいらっしゃる土壌を作ってい
たんですが、私たちだけではあのサウンドは作れないので。
成田 僕はだいぶ粗削りですけどね(笑)。MISIAバンドはアカデミックなので、その
対比がよかったのかなと。
寺岡 うん。ラグビーワールドカップの放送の中で、この曲がどう聴こえるか楽しみで
す。試合を観ながら「この歌詞は、こういうシーンをイメージして作ったのかな」とわ
かりそうだなって。
MISIA 私も楽しみです。お二人はラグビーの経験はあるんですか?
寺岡 僕はないですけど、昭次さんはあるみたいですよ。
成田 親父がスポーツ全般大好きな人で。野球やサッカーを含め、小さい頃にひと通り
やらされた記憶があるんですよ。ラグビーボールも家にありました。
──「傷だらけの王者」は、MISIAさんと寺岡さんとRockon Social Clubの情熱やスキ
ルが1つになってできあがった楽曲だと思います。皆さんの関係性についてもお聞きし
たいのですが、寺岡さん、成田さんから見たMISIAさんはどんなアーティストですか?
寺岡 僕は今55歳で、昔の自分にとっての歌の女王と言うと美空ひばりさん、松田聖子
さん、ユーミンなどが思い浮かぶんですが、今の日本の歌の女王はMISIAさんしかいな
いなと。例えば「NHK紅白歌合戦」のトリも、国民みんなが「この人しかいないよな」
と思ってしまう。それくらい確固たる地位を築いているのはすごいことですよね。しか
もすごい数のライブをやっていて、作品もコンスタントに出し続けていて。常にハード
ワークをしている方なんだなって。
成田 初めてライブを観させてもらったのは3年くらい前かな。そのあとも何度か観て
いるんですが、MISIAさんの歌はいつも会場いっぱいに響くんですよ。しかも常に進化
しているし、喉のケアなどもすごくストイックで。でも、普段お会いすると、中学生の
女の子みたいなあどけなさがある(笑)。そのアンバランスさも魅力だと思いますね。
──では、MISIAさんから見た寺岡さん、成田さんの印象は?
MISIA 寺岡さんはロックからポップスまで、いろんな音楽を作られている方で。実際
にお会いすると、いろんなことを楽しんでいて、一緒に仕事をするミュージシャンの中
にあるドラマをしっかり引き出しくれるんです。それを音楽になるように導いてくださ
るのは本当に素晴らしいなと思いますね。「傷だらけの王者」のアレンジを作っていた
ときもそうでした。イントロをお願いしたら、印象的なギターのリフを入れてくださっ
て。「そう、こういうことがやりたかったんです!」と思ったし、きっと私の中にある
“ドラマ”を汲み取って形にしてくださったんだなと。昭次さんのライブも何度か観さ
せていただいたことがあって。たくさんおしゃべりしたわけではないんですが、ギター
のことになると、「これは〇年製で、こういう特徴があって」と話が止まらなくなるん
です(笑)。
成田 (笑)。
MISIA さっきもお話しましたが、昭次さんのギターサウンドは優しさの中に切なさや
悲しみが入っているのを感じるんです。お二人とも大先輩ですし、人生経験も豊富。そ
れがギターや歌の色や味になっているんだなと。言葉で語らなくても、お二人の思いが
楽曲の中に出ているというか。それこそがミュージシャンだなと思うし、「傷だらけの
王者」が言葉以上に大きなメッセージが伝わる曲になったのは、お二人のおかげですね
。
希望を見つけて突き進む力強さ
──今回のコラボは、Rockon Social Clubとしても大きな経験になりそうですね。
成田 常に「新しいことをやっていこう」と思っていて、始まりはいつもそこなんです
。決まった道を進むのではなく、突然「これをやろう」と思い立って進んでいるという
か。今回はMISIAさんとのコラボということで、自分たちだけではできない曲になった
し、Rockon Social Clubの1つ先の未来が見えた感じがありました。
MISIA 個人的な感想ですが、Rockon Social Clubはロックと音楽が好きで好きで好き
で生まれたバンドだと思うんです。昭次さんは長い間音楽から離れていましたが、今こ
うやって新しいバンドで活動していらっしゃるのは、音楽が好きという気持ちが心にず
っとあったからだろうなと。私も歌手をやっているのでわかるのですが、もし情熱がな
くなったら、ダメになるのはあっという間だと思うんです。昭次さんは音楽への気持ち
をずっと持ち続けていたからこそ、いろんなきっかけがあって、こうやって花開いてい
るんですよね。
成田 1人では気付けないことが多いと思うんです。自分の中に情熱が残っていたこと
も、もちろん忘れていたわけではないんですが、仲間が気付かせてくれました。それは
財産だし、いくら感謝してもしきれないですね。再始動してここまで到達しましたが、
大事なのはこの先だと思ってます。
寺岡 男闘呼組の解散ライブ(参照:男闘呼組が35年ぶりの日比谷野音でラストライブ
、トリプルアンコールで成田昭次は感極まって涙止まらず)を配信で観たんですけど、
裸に革のベストがイケる50代って、ほかにいないですよね。
成田 イケてるかどうか(笑)。
寺岡 いやいや、イケてましたよ。カッコよくて、美しいバンドだなって。10代でデビ
ューして、30年以上経って熟成されて。ほかにはいないバンドだなって改めて思いまし
たね。
──「傷だらけの王者」は皆さんにとって、どんな曲になりましたか?
寺岡 こういう素晴らしいコラボができたわけですけど、ずっと前から準備していたの
ではなくて、わりと急遽決まったんですよ。心の準備が整わないまま制作が始まって、
少しずつレコーディングが進んで。ギター、ベース、コーラスを重ねて、曲が完成して
、一緒にフェスに出演して。その過程の中でだんだんと「これって、すごいんじゃない
?」というストーリーが生まれてきた感覚があるんです。そのことに僕らも感動したし
、リリースされて、お客さんや視聴者の皆さんの曲になっていく過程も楽しみですね。
成田 みんなでディスカッションを重ねて、メンバーが増えていって。ラグビーと同じ
ように、この曲にメンバー全員で向かっていった感じがあります。仲間の大切さを改め
て感じたし、こんなレコーディングは初めてでした。
MISIA 「傷だらけの王者」は、決してあきらめない、何度だって立ち上がって、どん
なときも希望を見つけて突き進む力強さを表現していて。この曲を通して選手の皆さん
を一生懸命応援したいし、お互いに力を与え合って、よりよく生きていくための応援歌
になればいいなと思っています。
プロフィール
MISIA(ミーシャ)
1998年デビューの歌手。「Everything」「アイノカタチ」など数多くのヒット曲を持つ
。東京オリンピック開会式では日本国歌「君が代」を独唱。社会貢献活動にも積極的で
、長年にわたって国内の子どもたちのサポートやアフリカの子どもたちの教育支援など
に従事しており、その功績からアフリカ開発会議(TICAD)などの国際会議の大使も歴
任している。2023年にデビュー25周年を迎え、全国アリーナツアー「25th
Anniversary MISIA THE GREAT HOPE」を開催。9都市23公演で20万人を動員した。10月
には東大寺でのライブイベント「PEACEFUL PARK」、11月からは全国アリーナツアー「
星空のライヴ」を開催予定。9月には配信シングル「傷だらけの王者」「愛をありがと
う」を2作同時リリースした。
Rockon Social Club(ロックオンソーシャルクラブ)
1年間限りの復活を果たした元男闘呼組のメンバーである成田昭次(G)、高橋和也(B
)、岡本健一(G)、前田耕陽(Key)を中心に、プロデュースを担う寺岡呼人(G)と
青山英樹(Dr)を加えて結成したロックバンド。2023年1月に発表した1stアルバム「
1988」は同世代を中心に若い世代からも大きな話題を呼んだ。9月にMISIA & Rockon
Social Club名義でのシングル「傷だらけの王者」とライブBlu-ray / DVD 「ROCKON
SOCIAL CLUB 1988」をリリース。同月22日には配信シングル「何処にもいかないから」
を発表予定。
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