作者CrystalDays (Endless World)
看板MISIA
標題[新聞]【MISIAインタビュー】アフリカへの想い
時間Tue Sep 13 11:02:20 2022
https://www.ozmall.co.jp/sdgs/article/32057/
【MISIAインタビュー】アフリカへの想いを込めた絵画展を東京・新丸ビルで開催!
魂を揺さぶる歌声で多くの音楽ファンから支持され、アジアを代表する歌手として活躍
するMISIAさん。音楽活動のかたわら、長い間、社会貢献活動にも熱心に取り組んでい
る。2022年8月27、28日、チュニジアでの「TICAD8」開催に合わせ、東京・新丸ビルで
「mudef× junior artists MISIA HEART FOR AFRICA 『子ども絵画展“わたしの大切な
モノ”』」を開催中。本展覧会への想いやアフリカの魅力について伺いました。
「第7回アフリカ開発会議(TICAD7)」名誉大使として訪れたザンビア難民キャンプで
MISIAさんが気づいたこと
MISIAさんの取り組んでいる社会貢献活動のなかでもとくに、子供たちの未来を支える
活動をはじめとしたアフリカとの関わりは深く、2019年には「第7回アフリカ開発会議
(TICAD7)」名誉大使に着任。同年、ザンビアのメヘバ難民キャンプを訪問するなど、
積極的に活動を続けています。
──開催中の「mudef×junior artists“MISIA HEART FOR AFRICA” 『子ども絵画展“
わたしの大切なモノ”』」(以下、本絵画展)には、「TICAD7」の名誉大使として訪れ
たザンビアのメヘバ難民キャンプ内の学校に通う子どもたちが描いた絵が100枚近くあ
るそうですね。難民キャンプを訪れた印象や、子どもたちとの交流で心に残ったことを
教えていただけますか?
「まず、ザンビアについてですが、アフリカ大陸南部にある内陸国で、8ヵ国に囲まれ
ています。ザンビア自体は、独立後に大きな内戦などはなく治安は安定しています。た
だ、これまでに隣接する国々で内戦や革命などが起こり、その都度、ザンビアに多くの
難民がやってくる・・・を、1960年代後半から繰り返してきました。
そのため、ザンビアにはたどり着いたばかりの難民から、もう何年も暮らしている人、
さらには難民の2世、3世までいます。そうした方々が身を寄せる難民キャンプへ行きま
したが、たどり着いたばかりのご家族には、ほとんど持ち物がありませんでした。0か
ら生活をスタートさせるご苦労やお仕事の悩み、親がいる子どもと亡くなってしまった
子供など状況もさまざまでした。
難民キャンプには、大きな学校もあり、何ヵ国もの難民の子どもたちが通っていました
し、地元のザンビアの子供たちも一緒に授業を受けていたことに驚きました。せっかく
なので、授業に参加させてもらったのですが、JICA海外協力隊の方も授業を担当されて
いて直接お話を聞けたりしました。
授業の途中、生徒さんが私の歌を日本語で歌って披露してくださる場面も。いくつかあ
る候補から『つつみ込むように』を選んでくれました。歌の後、ぜひ私とやりたいこと
があると生徒さんたちが踊り出し、私も輪の中に誘われ一緒に踊りました(笑)。音楽の
力は本当に凄いもので、この時間のあと一気に皆との距離が縮まりました」
──MISIAさんならではの温かな交流ですね。
「ありがとうございます。授業中、『僕たちは争うためにここに来たんじゃない。仲良
くするためにここにいるんだ。共に学び合おう』という趣旨の言葉を、大きな声で言い
合っていることが印象的でした。難民として違う国に来た子どもたち・・・。だからこ
そ、学校では『逆境に負けず、この学校で自分とは違ういろんな人と仲良くなる方法を
学んでほしい。それがより良い未来を作ることにつながるはず』という想いを込めて教
育をしているのだと思いました。
と同時に、子どもの頃から、他国の人とどうすれば仲良く暮らせるのかを学び、考えて
いることは凄いことだと感銘を受けました。日本では、難民の方に会うことはほとんど
ありませんから、意識してこういう視点をもち、子どもたちが世界のことに触れる機会
を大人は提供しないといけないのかもしれないな、という気付きもいただきました」
ココロに負った傷を癒す助けになる可能性を秘めた“アート”という言葉以外のコミュ
ニケーション
──本展覧会では、MISIAさんが長年サポートを続けるケニア「マゴソスクール」の子
どもたちの絵もたくさんあります。同校では、以前にもアート関連のクラスが行われた
そうですが、アートは子どもにどのような影響を与えるのでしょうか?
「私たちは、言葉意外にも物事や気持ちを語る・話すのに役立ついろんな方法を持って
いると思うのです。瞳や表情、涙、声の調子、身振り手振り、そして音楽や踊りなど。
そのなかに、絵を描く、なにかを創造することも含まれるのかなと。
言葉にできない想いは大人にもありますよね。きっと子どもも・・・、なかでも心に傷
を持っている子どもは、なおさら言葉にすることが難しいときがあることを私は知りま
した。そんなとき、アートは、その子の表現を助けるのです。
実は、こんな話を聞いたのです。ある幼い少年は、両親を感染症で亡くし、死後は差別
を受けたそうです。以来、人を避けて森で暮らすようになりましたが、ある日、保護さ
れました。怖い記憶から、人を見て卒倒してしまうこともあったとか。そんな少年が好
きだった絵を描くことを通して、少しずつ心を開き、言葉も話してくれるようになった
といいます。
心に傷がある時、その痛みを誰かに伝えることで乗り越えられることがあります。少年
の場合は、言葉にできなかった想いを絵に替えた。アートが、次に進む力をくれたのか
もしれませんね。その少年は大人になり、今では子どもたちに絵を教えることもあるそ
うです。
どんなことを感じているのか、見ているのかを絵で教えてほしいと言われたとき、子供
たちの絵はとても饒舌になります。アートは心の表現に影響を与えているとも言えます
し、アートは心に未来を描く力をくれるとも言えるのではないでしょうか」
多様でカラフルな魅力を備えた絵画の中から選び出すのに苦労した「MISIA賞」
──本絵画展のテーマは「わたしの大切なモノ」だそうですね。子供たちの作品を見た
ときの感想、印象をお聞かせください。
「ケニアとザンビアの難民と元難民という、3つの地域で描いてもらったのですが、そ
れぞれ描かれている“大切なモノ”の傾向が違い、興味深かったですね。
ケニアのマゴソスクールは、授業で絵を描くこともあるので多様な絵が並んでいます。
子どもたちが伝えたいことと、周りの大人が子どもたちから知りたいことと、お互いに
絵を描きながらコミュニケーションを取っているような印象を受けました。
また、ザンビアの難民が多い学校では、お父さんやお母さんのように“人”を描く子が
多いのかなと。一方、元難民が住む再定住地域で描いてもらうと家や車が多かったりす
る。元難民の皆さんは、自分たちで土地を整備して、ようやく家を建てることができま
した。ですから、その家への思い入れが強いのかなと。ひとつのテーマから、色々なこ
とが感じ取れますね」
──本絵画展では「MISIA賞」も設けられています。選ばれたポイントや、選考でご苦
労されたことは?
「どれも魅力的で、とてもとても迷いました。中には、何を描いたか説明のない絵もあ
りましたが、それがまた『何を描いたのかな』『どうして描いたのだろう』と、すごく
興味が湧いてしまって。最終的に各学校5作品ほどに絞り、あとは直感に任せて『これ
だ!』と選びました(笑)。絵は、それぞれの方の視点や好みに大きく左右されるもの
でもありますので…よろしければ、ぜひご覧になって『あなたの賞』を決めてみてくだ
さいね」
──MISIAさんが、本絵画展の子供たちのように「大切なモノは何ですか」と尋ねられ
たらどうお答えになりますか?
「平和です。貧困問題や紛争問題、環境問題などは、全てが繋がり合っていると考えて
います。これらの多くの社会的な問題が全て解決された先にあるものは何かといえば、
私は世界平和だと思っているのです」
TICADを契機に50か国以上が集まるアフリカの多種多様な魅力にもっと気づいてほしい
──本絵画展は「TICAD8」パートナー事業に認定されています。これまでに「TICAD7」
名誉大使なども務められてこられたMISIAさんが思う、TICADの役割について改めて教え
てください。
「TICAD、アフリカ開発会議は、1993年に始まりました。日本政府が主導し、国連や国
連開発計画、世界銀行およびアフリカ連合委員会と共同で開催しています。
この“開発”が、そこに住む人にとって幸せなものであって欲しいと願っています。そ
して、他国の人にとってもその開発が幸せなものになるなら、それはそれで有難いこと
。是非たくさん知識を持ち寄ってほしいですよね。SDGs(持続可能な開発目標)に基づ
いた開発が話し合われ、会議がより良い方向にいくよう、このTICADを多くの方に知っ
ていただけたらと思っています」
──MISIAさんのように、アフリカの方々の目線に立って考えることが大事なのですね
?
「アフリカと聞いて、ざっくりとしたアフリカ全体のイメージを浮かべる人はまだ多い
のかなと思います。ですが、アフリカには50ヵ国以上の国があり、これまで私自身、ケ
ニマやマラウイ、マリ、南アフリカ、ナミビア、セネガル、ザンビア…と訪れましたが
、1つとして同じような国はありませんでした。本当に多種多様で魅力的なのです。そ
れぞれの国、その地域の人たちに合った関係性が結ばれてほしいですし、それはまた、
平和の基盤にもなっていくと思うのです」
ファッションや音楽で世界から注目されるクリエイターから、10円玉硬貨まで!アフリ
カと日本の意外な繋がり
──長年、アフリカの方々と交流を続け、アフリカに関する絵本「ハートのレオナ」を
執筆されるなどしてきたMISIAさんから見たアフリカの魅力とは?
「アフリカ発のミュージシャンはどんどんグローバルに活躍していますし、アフリカ出
身のデザイナーもパリコレに出展し始めています。魅力は尽きませんし、ますます注目
されるのではないでしょうか。カルチャー分野での魅力だけでも尽きることはありませ
ん。
身近なところでは、カカオやコーヒーのほかに、日本で食べられるタコの6割以上はア
フリカからの輸入です。ルイボスティは南アフリカでしか栽培できない植物ですし、近
年、コスメにも使われるシアバターもアフリカの国々からやってきているものです。さ
らには、10円玉硬貨の原材料・銅の多くはザンビアから、大ブームになったタピオカの
原料であるキャッサバはアフリカでも栽培されています。スイカやオクラの原産もアフ
リカ・・・と、私たちは知らずにアフリカの魅力に触れているかもしれませんね。
──今後、日本とアフリカの繋がりにどんな未来を期待していますか?
「国も人も、それぞれに良いところも違いますし、ゆえに、学び合えることはたくさん
あると思います。抱えている問題もありますが、協力できることは協力し、私たちもそ
こから学ばせてもらう気持ちを忘れずに手を携えて取り組めば、互いによりよく発展で
きるのではないのかなと期待しています」
「mudef× junior artists MISIA HEART FOR AFRICA 『子ども絵画展“わたしの大切な
モノ”』」見どころ
──では、最後に、本絵画展の見どころや、どんなところを意識するとより深く楽しめ
るかアドバイスをお願いします。
「絵画展でもHPでも説明されていますが、ぜひ、子どもたちの背景を知って、その絵を
見ていただきたいですね。そうすると違ったものが見えたり、感じるのではないでしょ
うか。
また、ご覧になる前に、あなたにとって『大切なモノ』を想像しておいていただくのも
いいですね。同じなのか、まったく違うのか・・・、その違いを楽しむこともできます
し、絵からは子供たち一人ひとりの生活も垣間見えます。人が描かれてる絵なら、服装
や人物の動きの違いが楽しめますし、植物を描いたものにはダイナミックなものが多く
エネルギーを感じます。カラフルで心惹かれる色使いも注目してみてください。絵を通
して、ぜひ子どもたちの心に触れて欲しいですね」
PROFILE
イベント名 mudef× junior artists MISIA HEART FOR AFRICA 「子ども絵画展“わた
しの大切なモノ”」
開催場所 新丸ビル 7F 丸の内ハウス ライブラリー (東京都千代田区丸の内 1-5-1)
開催日程 2022年8月8日(月)~2022年9月30日(金) (開催時間は丸の内ハウスの営
業時間に準じます)
展示内容 子どもたちの絵の原画 249 点、MISIA メッセージパネル、 子どもたちの紹
介パネル、現地活動写真など
会場協力 丸の内ハウス 〈
https://www.marunouchi-house.com/〉
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