作者janetsai (★自分を耀かす★)
看板JPliterature
標題春與修羅 序
時間Thu Mar 27 19:37:56 2003
いちおう,我先把原文全波上來吧(不過漢字的部分會有差異)
わたくしという現象は
假定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です
(あらゆる透明な幽靈の複合体)
風景やみんなといっしょに
せわしくせわしく明滅しながら
いかにもたしかにともりつづける
因果交流電燈の
ひとつの青い照明です
(ひかりはたもち その電燈は失われ)
これらは二十二箇月の過去とかんずる方角から
紙と礦質インクをつらぬ
(すべてわたくしと明滅し
みんなが同時に感ずるもの)
ここまでたもちつづけられた
かげとひかりのひとくさりずつ
そのとおりの心象スケッチです
これらについて人や銀河や修羅や海膽は
宇宙塵をたべ または空氣や鹽水を呼吸しながら
それぞれ新鮮な本体論もかんがえましょうが
それらも畢竟こころのひとつの風物です
ただしかに記錄されたこれらのけしきは
それが虛無ならば虛無自身がこのとおりで
ある程度まではみんなに共通いたします
(すべてがわたくしの中のみんなであるように
みんなのおのおののなかのすべてですから)
けれどもこれら新生代沖積世の
巨大に明るい時間の集積のなかで
正しくうつされたはずのこれらのことばが
わずかその一點のも均しい明暗のうちに
(あるいは修羅の十億年)
すでにはやくもその組立や質を變じ
しかもわたくしも印刷者も
それを變らないとして感ずることは
傾向としてはあり得ます
けだしわれわれがわれわれの感官や
風景や人物をかんずるように
そしてただ共通に感ずるだけであるように
記錄や歷史 あるいは地史というものも
それのいろいろの論料(データ)といっしょに
(因果の時空的制約のもとに)
われわれがかんじているのに過ぎません
おそらくこれから二千年もたったころは
それ相當のちがった地質學が流用され
相當した證據もまた次次過去から現出し
みんなは二千年ぐらい前には
青ぞらいっぱいの無色な孔雀が居たとおもい
新進の大學士たちは氣圈のいちばんの上層
きらびやかな冰窒素のあたりから
すてきな化石を發掘したり
あるいは白堊紀砂岩の層面に
透明な人類の巨大な足跡を
發見するかもしれません
すべてこれらの命題は
心象や時間それ自身の性質として
第四次延長のなかで主張されます
大正十三年一月二十日 宮 澤 賢 治
--
※ 發信站: 批踢踢實業坊(ptt.csie.ntu.edu.tw)
◆ From: 61.228.74.79